コロナ禍で浮き彫りになるコミュニケーションの問題|アサーティブ・トレーニングのすすめ

コミュニケーションの技術は、自然に身につくものだと思っている人がいるためか、初めて会った人に、私はコミュニケーショントレーニングのトレーナをしていますと自己紹介をすると、「それは何ですか?」と尋ねられることが多いです。

スポーツのトレーニングにおけるトレーナーは想像できるかと思いますが、コミュニケーションとなると「何だろう??」と思われるようです。コミュニケーションとトレーニングが繋がらないのでしょう。

そこで、日常生活の場面における人間関係上のすれ違いの話をすると、「あるある!」と共感され、その時の伝え方をトレーニング(練習)するのですと説明すると、とても興味を持たれます。

コミュニケーションとストレスの関係

現代はストレスの時代とも言われ、多くの人がストレスを抱えて生きています。
その大半が、コミュニケーションの齟齬により人間関係が上手くいかず、それがストレスになると言われます。

もちろん、ストレスをゼロにするのは不可能でしょうが、コミュニケーションが原因で起きている人間関係のマズさならば、上手く伝えられるようになればストレスを軽減することができます。

人が二人以上寄るとそこには、対話(=コミュニケーション)が生まれます。
その範囲は、プライベート空間を共にする人から、一歩外に出て、接する人が増えるにつれて広くなります。

あなたはどのパターンが多い?

嫌なことやマズいことがあっても、これからの関係性が悪くなるかもしれないので言わずに飲み込んだり、それとなく察してもらえればと思っているけれども、なかなか伝わらなかったり、はっきり言ったけれども言い方がキツかったようで、気まずくなってしまったり。

「言わないで黙っているパターン」
「遠回しにイヤミを交えて言うパターン」
「言い過ぎるパターン」
これらのパターンで接していては、どれも伝えたいことが上手く伝わりません。

そのために、今までの自分が使ってきたパターンとは違う、自分も相手も大切にしたパターンをトレーニングをするのです。
それによりストレスも軽減され、相手にも自分の伝えたいことが伝わるようになります。
これを身につけるには、専門のトレーナーと共に練習をすることをお勧めします。

ちなみに、この自分も相手も大切にしたパターンのことを「アサーティブネス」と言います。

コロナ禍で浮き彫りになる人間模様

次に、もう1点のお勧めは、自分の気持ちに焦点を当てることです。

現在、新型コロナウイルス禍において、同じ居住空間で暮らす人同士、顔をあわせる回数が多くなって、相手の身勝手さに、こんな一面があったのだと腹が立ちストレスが溜まっている人が多いとメディアでも取り上げられています。

「コロナが原因」で、関係性が悪くなったとか、関係が終わってしまったと言われていますが、そうではなく、以前からあった問題が、この状況下で表出されたものなのです。

これをいい機会と捉えて、本当は自分はどうしたいのか、相手にどうして欲しいのか、自分の気持ちに焦点を当てて考えてみることをお勧めします。これは、自分一人でもできます。

まわりを優先することの弊害

アサーティブネスの最初の一歩は
『自分の気持ちに焦点を当てて、今自分はどう感じているのかを自分で知っておくこと』です。

日本では多くの人が、こどもの頃から自分のことよりも相手のことを優先して考えるようにと、親や周囲のおとなから言われて育ってきています。もちろん、相手のことをよく考えることは大事なのですが、一方で相手のことを考えることは出来ても、自分がどう感じているのか、自分がどうしたいのかが後回しになってしまい考えられなくなっていることがよくあります。

私の長年のトレーナー経験の中で、全ての感情というよりも、喜怒哀楽で表される内の「喜・楽」に関しては自分の気持ちがわかっているけれど、「怒・哀」については横に置きがちになっている方が多いことがわかりました。
このようなことが度重なると、一部の感情については、自分でどう感じているのかがわからなくなってきます。

感情が教えてくれること

なぜ感情に焦点を当てることをお勧めするかと言いますと、感情には、自分の要望やこれからの行動の指針が隠れているからなのです。

「楽しい」のなら、このままでいいので、これからもこの状態を続けたいと思うでしょうし、「マズい」と感じているのなら、この状態を変えたいと現状を変えることの行動に結びつけることができます。

自分を大切にするということは、自分の感情を無いものにしないということなのです。

自分のことを自分がわかること(自己覚知)ができて、初めて相手のことも本当の意味で考えること(他者理解)ができるのです。

アサーティブネスは、自他尊重のコミュニケーションですが、まずは、しっかりと自分を見つめることから始めます。

そして、その自分を見つめるために必要となるのが、時間です。
日々の忙しい暮らしの中では、自分がどう感じているかなど、振り返る時間もありません。そういう面では、今回家に滞在する時間が長いことで、少し立ち止まり、いろいろ考えることができた人も多かったのではないでしょうか。

忙しいとは「心」を「亡」くすと漢字になぞらえて表わされますが、本当にそのとおりだと思います。

ときには立ち止まり、自分の気持ちに寄り添う

私もかつて、日々、仕事や活動に追われている時がそうでした。
自分がどうしたいということよりも、今何をしなければならないかいうことで突っ走っている日々でした。

「~~~したい」ではなく、「~~~しなければならない」で過ごしていました。

そこで、自分で時間を作り、気持ちに焦点を当てゆっくり考えることをしてみたところ、頭が整理されて、自分がどう感じているのかに気づくことができました。

それまでは、納得はしていないけれど流れでやってきていたこともあり、立ち止まることで、自分が「嫌だ」「違う」と感じていることがわかりました。
その上で、今、自分が大事にしたいこと、優先したいことは何かを考え、流されるように仕事や活動をするのではなく、自分の今目の前にいる一人ひとりの人を大事にして接していくことを望んでいると、自分自身の感情からわかったのです。

からだからのメッセージ

気持ちに焦点を当てずやり過ごしていると、次は体にサインが出てくることになります。胃痛、頭痛、腰痛、めまいなど。
元気に暮らしていくためにも、体調不良になる前にわかるのがいいのではないでしょうか。

アサーティブネスの第一歩は、自分の感情に向き合うこと。
あなたも、一度自分に問いかけてみてください。
「私は、今どう感じている?」と。

そして、どう伝えていいのかわからない場合は、ぜひアサーティブネスを一度学び、トレーニングされることをお勧めします。

未来は変えることができる

トレーニングに来られる多くの方は、「本で色々読んでもわからなかったけれど、トレーニングをして体験することで良くわかった」とおっしゃいます。

過去と他人は変えられないけれど、自分とこれからの未来は変えることができます。変えてみたいと思ったその時が、ご自身にとっての変わり時です。

ヒューマン・トータルバランスサポート「りんと」では、アサーティブネスの第一歩を踏み出すためのスタート講座を開催しています。
詳細は「講座のご案内」をご覧ください。

今までは、会場を使ってのトレーニングでしたが、現在はオンラインで開催していますので、どこからでもご参加いただけます。

これからの新しい生活様式とともに、新しいコミュニケーションの方法も取り入れてみませんか。

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